ハンス・クリスチャン・アンデルセンの「マインド・ツリー(心の樹)

 貧困一家。本を次々に借りる                         dftop (2)(3)    

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アンデルセンが生まれたオーデンセのストリート

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オーデンにあるアンデルセン・ハウスとその展示

 

 


 

アンデルセン童話集〈1〉
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親指姫―アンデルセンの童話〈1〉 (福音館文庫)ハンス・クリスチャン アンデルセン イブ・スパング オルセン

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 はじめに

 アンデルセンは自作の童話「みにくいアヒルの子」のような人生を送った、と時
 に言われることがあるようですが、実際にはどんな人だったか、どんな人生を送
 った人なのかはふつうは知りません。「アンデルセン」という名前があまりにも
 知られわたっているため、現代に生きるわれわれは、もはやわざわざ過去の著名
 人のことを知ってみようと思わなくなっているからです。楽しいお話を彼が書い
 てくれたのだから、それを子供に読んできかせれば、それ以外のことなどする必
 要性もないと。それは確かにその通りでしょう。
 ところがアンデルセンの書いた一つ一つの物語が、アンデルセンの強烈な個性と
 行動力、そして人生の挫折の繰り返しの中から一篇一篇が誕生したものであった
 ことを知ると、好もうが拒もうが、私たちの意識の中で「アンデルセン」のイメ
 ージはすっかり変わっていきます。
 「商品化された」物語の奥底に、アンデルセンの夢と希望、そして挫折が感じと
 れるようになり、一篇の物語に命が吹き込まれるように感じられるとおもいま
 す。 なぜならば今、私たちが手にとって読むことのできる本、そして物語は、作
 者の「マインド・ツリー(心の樹)」から生み出されたものだからで、一篇一篇
 のお話が、かつてはアンデルセンの「心の樹」に果実をつけたように実が”なっ
 て”いたものだからです。
 実際の樹木のように、果実や葉を鳥に啄(ついば)まれたり、風に吹かれはこば
 れたり地面に落ちることによって、樹の命は継がれ、その樹木そのものもあたか
 も「輪廻転生」するかのごとく時を超えて立ちつづけるのです。
 まさに、一篇一篇のお話が、小枝を通して樹の幹や根っ子とつながっていた、ア
 ンデルセンの「魂」とつながっていた、その様相を「マインド・ツリー」を通し
 て、感じ取ることができるようになるのです。

 

 

 

 貧しかったが父が芝居好きで、アンデルセンは物語が好きに。
 次々と本を借りる

 1805年4月2日に、デンマークのフュン島オーデンセ(Odense)に生まれた
 アンデルセンは実際、土くれも無きに等しい貧困から出て、最後は国葬で見送ら
 れる大波乱の人生でした。彼の残した多くの童話は、デンマークという小国を超
 え、日本も含め世界広く訳され紹介されたわけですが、アンデルセンの童話には
 当時の流行だった他の童話と比べ、かなり変わった種類の童話だったことが今で
 はわかっています。いったいその童話とは何だったのでしょうか。その秘密は、
 アンデルセンの心の”根っ子”にあります。これからその”根っ子”を一緒にた
 どってみましょう。

 
 ハンス・クリスチャン・アンデルセン(以降、成人するまでファーストネームの「ハ
 ンス」と表記)
の「樹」の”土(壌)”はよく知られているように、あまりの貧土
 といえるものでした。祖父も父(小さな靴屋を営んでいた)も精神に破綻をきた
 して亡くなり、母の生家は最下層で乞食同様の生活を強いられ貧しさから学校に
 も行っていないそうです。ただ祖父も父も人形をつくるのが好きで、ハンスはそ
 の人形をもちいて自分で劇を書いて芝居をまねごとをして遊ぶのが大好きでし
 た。
 貧土だったとはいえ父が芝居好きだったことが、ハンスの”痩せ細った小さな
 根”をじょじょに太らせ、また”本来の魂”を生き生きさせていきます。芝居には
 必ずお話がありますから、ハンスはお話に夢中になっていきました。小さな家に
 は父が入手した本があって父はデンマークの喜劇作家の本をハンスに語って聞か
 せました。しかし父の本棚の本といってもわずかなものです。すぐに本がつきて
 しまったのでしょう。
 ハンスは家の本をすべて読み終えると、誰にでも気兼ねなく声をかけ、貸してく
 れる人があればあちこちから手当たり次第に本を借りて読んでいきました。そし
 て生来よい声をもっていたせいで、周りの人にいろんなお話や芝居を話すのが得
 意になっていきます。

 

 慈善院で働く祖母と貧しいお婆さんから「昔話」を聞く

 祖母の存在も重要でした。祖母はハンスの幼い”根”にしっかりと養分と”水”
 を与えていったのですから。祖母は慈善院で働いていて、ハンスが遊びにいくと
 祖母やそこで暮らしていた貧しいお婆さんたちからいろんな昔話を聞くことがで
 きたからです。初期の「童話の原型」にもなっています。
 また詩人とも知られ牧師未亡人のブンケフロードも少年期のハンスの”心の樹”
 の成長を支えてくれました。未亡人は好奇心に満ちたハンスにシェイクスピアや
 ゲーテなど読みたいだけ本を貸し与えました。彼等はハンスの”心の樹”にと
 って得難い”水”となってくれました。
 学校では友達もなかなかできなかったようです。その一つの原因が、祖父や晩年
 の父で、二人とも町にでるといつも木で刻んだ人形を持ち歩いていたので気が変
 だと噂され、学校でも敬遠されてしまったのです。学校ではハンスはずっと
 ”風”を受けていたといえるでしょう。ただでさえハンスの魂は多感で傷つきや
 すく、古い慣習を大切にする心優しい人であった働き者の母の元にいそいそと
 戻っていくしかありませんでした。

 

 

◉幼年・少年期:Topics◉
 母の生家は最下層といえるほど貧しく、乞食同様の生活だった(『龍馬伝に登場する岩崎弥
 太郎の生家に近いかもしれない)。乞食に出された日は、もの乞いができなく橋の下でしく
 しく泣いてたという。母はその貧しさから学校へも行けず読み書きができなかったという。
 『マッチ売りの少女』は、この母の思い出話からアンデルセンが思いついた話である。
 働き者できれい好きだった母は、夫と結婚し一家の主婦となれたことを心から幸福におもっ
 ていて一人息子を心から愛します。
 アンデルセンは父だけでなく、母からも人生で大きく深いものを受け取っているのです。
 母は5月になると森に入ってベンケイ草を採ってきて葉を梁に挟んだり若葉のでたブナの
 枝を台所に飾って幸福を祈るなど古い慣習を大切にしていた女性でした。
 森へ出掛けるこの日以外は毎日働きづくめで、あちこちの屋敷に出かけ拭き掃除や洗濯を引
 き受けています。父が亡くなり、母はまたも靴屋の若いおとなしい人と再婚。ハンス(アン
 デルセン)は貧乏人の子供が通う貧民学校(教室は一つ、先生は一人)に通っていたが途中
 で学校へ行くのをやめてしまうのです。ハンスは気がちってよそ見ばかりする子供でした。
 母に頼んで2、3度学校を代えたがどこも途中で行かなくなってしまうのです。学校に行か
 ない代わりにひとりで空想にふけったり、むかし父がつくってくれた人形で人形芝居をした
 り、好きな歌をうたったりして過ごす毎日。2番目の学校では先生にすごくかわいがられた
 が、ハンスはあまりにも多感で神経質で空想の世界にばかりに住み、友達と交わることので
 きない性格だったようだ。
 神経を病んで発作を起こす時がよくあり、母が中世以来霊験あらたかな聖レギッセの霊泉に
 連れていったりしているます。勉強はしなかったが読書力はかなりあり教科書も長い時間座
 って勉強することに絶えられなかったので、授業中は空想にふけっていた方がましだったよ
 うです。それを先生にはぼんやりしていると映ったようです。
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