ボードレールの「Mind Tree」

df 黒い衣装、エナメルのブーツ、規範への冒瀆     dftop (1)(3)

                          


トーマス・エジソンが撮影した西暦1900年 の
パリのオペラ・ハウス前の光景:<Youtubeで
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ボードレール全詩集〈2〉小散文詩 パリの憂鬱・人工天国他 (ちくま文庫)
ボードレール全詩集〈2〉小散文詩 パリの憂鬱・人工天国他 (ちくま文庫)シャルル ボードレール Charles Baudelaire

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star等身大のボードレール像

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革命論集
革命論集ルイ・オーギュスト ブランキ 加藤 晴康

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巴里の憂鬱 (新潮文庫)
巴里の憂鬱 (新潮文庫)ボードレール Charles‐Pierre Baudelaire

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starそろそろ改版して欲しい……。
star雨の日曇りの日に音楽を聴きながら読みたい
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ボードレール―詩の現代性 (文庫クセジュ)
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シャルル・ボードレール―現代性(モデルニテ)の成立
シャルル・ボードレール―現代性(モデルニテ)の成立阿部 良雄

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帝政パリと詩人たち―ボードレール・ロートレアモン・ランボー
帝政パリと詩人たち―ボードレール・ロートレアモン・ランボー出口 裕弘

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ボードレールからシュールレアリスムまで
ボードレールからシュールレアリスムまでマルセル レイモン 平井 照敏

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 詩に、砂漠の「泉」を”発見”

 ▶パリのルイ・グラン中学(哲学学級)では、シャルルは落第をようやく免れるく
 らいの低空飛行の成績になります。シャルルには哲学が駄弁におもえ、友人エミ
 ール・デシャネルが学校に持ち込んで来る小説や戯曲や詩への関心を隠すことは
 できなくなっていました。砂漠の「泉」を”発見”したシャルルにとって、ユゴ
 ー、ミュッセ、ラマルティーヌ、サント・ブーヴ、ヴィニーらの詩を読んでいる
 と自分の心臓の鼓動を感じ、魂を世界に解き放っているように感じられるのでし
 た。本当の家族とともにいるような気になったといいます。授業中もこっそり即
 興で詩作したものをデシャネルにまわし楽しんでいたようです。

 その一方、この頃、シャルルのなかで、冷淡で皮肉で辛辣な人間になりたい気持
 ちがむくむくと沸き上がってきていました。義父とのこと、学校での軋轢が、無
 意識にもシャルルの魂を圧迫し続けていた結果だったにちがいありません。魂は
 芸術やギリシア語をもっと吸収したいと願っていたようです。シャルルはそれら
 を教えてくれる個人教師をつけて欲しいと義父に嘆願しています。成績がふるわ
 ないシャルルの願いを義父は却下します。
 砂漠の「泉」は干上がり寸前に。授業中に書いていた詩が先生に見つかり、それ
 をまるめてぽいと飲み込む愚挙に学校から放校させられてしまったのです。怒る
 義父、泣くばかりの母。シャルルは別の中学に転入。家を離れ個人教授宅で下宿
 して勉強することに。

 

 両親と将来の方向性で衝突

 市庁舎占拠したバルベスとブランキが煽動した暴動が起きた1839年。下宿の身の
 シャルルは、義父ばかりにつくす母を薄情だとおもうようになります。勉強にも
 身が入らず、陰鬱になり、泣いたり、気持ちは塞ぐぎ込むばかり。しかし、この
 状況から脱しようと意を決して大学入学試験に望むため短期間、猛勉強。優秀な
 ラテン語とギリシア語が目にとまって合格。義父も昇進し少将に。シャルルが合
 格しても母は義父の下から戻って来ず精神の均衡がたもてないシャルル。周囲を
 狼狽させる奇矯な行動があらわれはじめます。牢獄と思った高校を終えると、今
 度は目前に広がる無限の空間に怯えるシャルル。

 義父はシャルルに外交官か軍人の道に進むよう勧め、母も外交官になって欲しい
 と思い描いていました。義父やボードレール家の人脈をもってすればその話も夢
 ではないとおもわれたのです。物書きになると言いシャルルに対して、物書きは
 真の職業などではなく、ごろつきのような夢想家ばかりだと言い立てる両親。対
 立は決定的に。異母兄アルフォンスがシャルルを諭します。文学好きなら法科
 だ。後にいろんな職業に就けるぞと。

 

 醜悪でおぞましい女への欲望、規範への冒瀆

 シャルルは異母兄を頼りにします。娼婦にうつされた淋病のことも打ち明け、異
 母兄はつてをとどって最良の薬と治療を受けさせたりしています。シャルルは母
 とは真逆な醜悪でおぞましい女に欲望があることを感じはじめていました。
 それは美の規範を冒瀆することで、官能と陶酔感がもたらされる後のシャルルを
 予感させるものでした。醜女は<霊感>さえ吹き込む女神であり、堕落や後悔か
 ら身を守れるのだと皮肉屋のシャルルは考えるのです。義父の助言は、シャルル
 の反抗的な気質を増幅させ、あらゆる規律にそむこうと暴力や腐敗、醜悪なもの
 に惹き寄せられていきました。

 

 

 皮肉屋、放蕩者、ダンディー気取り、浪費家

 シャルルは詩を追求する決意を隠し両親の心配を和らげる口実に表向き法科にす
 すみます。大学ではシャルルは「好奇心旺盛な放蕩者で、風変わりで感情を抑え
 た、皮肉屋で陰鬱で、いつも身ぎれいにしていてダンディー風で(当時の若者は好
 んでだらしない身なりをしていた)
、苦行僧のようにやつれていて、反逆ゆえに不信
 心で、言葉を選んで話す」と仲間うちに映っていました。
 寮でシャルルは「ノルマンディー派」というの文学グループを結成。見栄を切る
 シャルルはいっぱしの浪費家になり、高額な外套やチョッキを次々に購入しまく
 ります。洋服屋や靴屋、帽子屋への借金は膨大に嵩んでいきました。将来計画を
 放棄したシャルルに母は落胆し、あまりの無分別に義父は怒り、シャルルを叩き
 直すためにインド洋の航海に送り出ししました。

 

 インドへの航海と「内面の旅」

 シャルル20歳の時(1841年)、義父オーピック参謀長はシャルルを鍛え直すため
 に、アフリカ南端の喜望峰を周りインド・カルカッタに向かう「南洋号」にシャ
 ルルを乗船させます。この商船には少数の商人と植民地駐在の士官が乗船してい
 ました。不思議とブルジョワの世界よりも水夫たちといるほうが心地よさを感じ
 ています。海上の光景はボードレールを魅了し、後に『悪の華』にも謳われま
 す。航行は暴風雨にさらされまさに死と隣合わせになり、アメリカ船に救助され
 モーリシャス島へ。体力的にも衰弱しシャルルは憂鬱になり、美しい光景にも無
 感動になっていきます。

 シャルルにとって唯一の旅は「内面への旅」だったのです。シャルルはそのこと
 に気づきます。砂漠の中に見つけた「泉」は、内面にある泉で、決してインド洋
 の大海などではなかったのです。シャルルは自身の霊感がやってくる先が、内面
 の苦悩、病的な神秘感覚、呪詛や恐怖、反逆にあることを認識しました。「南洋
 号」の目的地カルカッタを目前に、シャルルを預かっていた船長は彼をフランス
 に戻すことを決断します。 

 

 混血女性ジャンヌとのつきあい

 パリに戻ったシャルルは、混血女性ジャンヌと付き合いはじめています。南洋の
 旅で魅力的な植民地生まれ(クレオール)の夫人に憧れた後だっただけに、褐色
 の肌に色気を感じとったのかもしれません。ジャンヌはサント・ドミンゴ生まれ
 で舞台でルメール嬢として多くの端役を演じていた女性(写真家のナダールと関係
 があった)
で、彼女の獣のようにうねるような体と陽に焼けたような褐色の肌、
 匂い立つ豊かな髪の虜になったのです。
 シャルルは母にみた天使とは逆に、ジャンヌに獣性を帯びた「悪魔」をみたので
 す。実際、軽蔑をこめてボードレールの顔に唾を吐きかけたかとおもうと、獣の
 ような腰つきでボードレールを挑発する、不吉なジャンヌ。異なる人種の女と交
 わることは、義父の価値観、ブルジョワの世界観を葬る快感もあありました。
 ボードレールはこのジャンヌを歌いつづけます。

 

 

 黒い衣装、エナメルのブーツに、明るい色の手袋

 ボードレールはいつも黒い衣装に、エナメルのブーツに、明るい色の手袋、ダ
 ンディーな帽子を被りはじめます。部屋の壁と天井に赤と黒の壁紙を貼り、エミ
 ール・ドロワ(Émile Deroy)の肖像画「アルジェの女」を掛け、異国的で悪魔的
 な世界を演出します。五感に変調をきたすものなら何でも試し、極めるべし、自
 己を破壊せよ、という考えからだったようです。              
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