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ジェームズ・キャメロンの「マインド・ツリー(心の樹)

df 幼少期、<物に触れている>ことが大好きだった    dfTopdf(2)df(3)df(4-未)

 

 

 

 

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キャメロンが生まれ育ったカナダ・カプスケーシング

 

 

 

 

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かつて妻だったキャサリン・ビグローの作品の脚本を担当。
ビグローは後に『ハート・ロッカー』でアカデミー作品賞・
監督賞で『アバター』と争い受賞する。
初の女性監督賞を受賞する

 

 

 

 

 

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 キャメロンは『ランボー/怒りの脱出』の脚本を
書きあげた。主演のシルヴェスター・スタローン
が大幅に手を入れてしまったが。

 

 

 

 

 

 


カプスケーシングにある小さな滝と川の流れ
 

 はじめに

 独自に3D技術までも開発し製作した映画『アバター』で世界の度肝を抜き、前作
 『タイタニック』、そして『ターミネイター』や『エイリアン2』『アビス』など
 で、驚異的な特殊効果を駆使した映画監督ジェイムズ・キャメロン。キャメロンと
 ハリウッドとのかかわりは、映画監督ロジャー・コーマンの映画工房で、ミニチュア
 模型の製作チームの一番下っ端に採用されました。実際に応募したのは撮影カメラマ
 ンとしてでした。キャメロンは最初から映画監督を夢見ていたわけではなかったので
 す。ではどうして映画『タイタニック』や『アバター』をフィルム・メイクするよう
 になったのでしょう。

 その秘密は、キャメロンの「マインド・ツリー(心の樹)」の中にあります。『ア
 バター』に描かれた聖なる樹の麓に歩みでるように、キャメロン少年の「心の樹」
 の根元に向ってみましょう。
 キャメロンが深海に沈むタイタニック号に潜水艇を送り込み、サーチライトで船内を
 照らし出したように、キャメロンの幼少・少年期に向って、キャメロンの内界に生え
 る「心の樹」を照らし出してみます。そこにひっそりと浮かぶ「心の樹」がなけれ
 ば、その後のキャメロンのどの映画も存在しません。

 

 

 

 電気技師の父と芸術を愛する母のもとに生まれる

 ジェイムズ・キャメロンは、1954年8月16日、カナダ東部の五大湖の北岸に広がるオ
 ンタリオ州のカプスケーシングに生まれています。カプスケーシングは北極圏から内
 陸に切れ込んでいる大きなハドソン湾と五大湖のスペリオル湖とヒューロン湖のちょ
 うど中間地にあり、人口わずか8千人程の小さな町です。1910年代に農業実験地とな
 り、大陸横断鉄道の駅ができ、第一次世界大戦の間には巨大な捕虜収容所がありまし
 た。それ以外には、凍えるような大自然があるばかりでしたが、1920年代初頭カプス
 ケーシング川から落ちるスプルース瀑布に、電力会社とその水力を利用する製紙会社
 が目をつけ、スプルース・フォールズ電力と製紙工場ができ雇用をうみ、町がひらけ
 てきました。

 キャメロンの父フィリップ・キャメロンは、まさにそのカプスケーシングの産業の申
 し子で、そこの製紙工場で電気技師として働いていました。父フィリップは躾(し
 つけ)
に厳格で、仕事に誇りを持ち、またその仕事柄、一糸乱れず統率がとれた仕事
 運びができる人物でした。母シャーリーは主婦であり芸術面への感性が高い女性でし
 た。息子ジェイムズが描いた絵を地元のギャラリーで展示したり、つねに息子ジェイ
 ムズを応援していました。と同時にエネルギッシュで激しい性格の面も持ち合わせて
 いるそうです。

 キャメロンの映画の中の女性キャラクターはしばしば母シャーリーのように精神的に
 自立する女性として描かれています。またキャメロン自身もつねにそうした女性に惹
 かれ、その結果、2010年のアカデミー賞作品賞でキャメロンの『アバター』を押さえ
 受賞した映画『ハート・ロッカー』の監督は妻のキャサリン・ビグローだったことは
 よく知られています(キャサリン・ビグローもその美貌と裏腹にハード・アタッカーです)

 そして映画製作のすべての面においてキャメロンは将軍のように統率し、信頼された
 チームは軍隊的な的確さで動き続けることもよく知られたことのようです。まさにキ
 ャメロンは、父フィリップ、母シャーリーそれぞれの資質と性格を引き継いでいると
 いってよいでしょう。そしてキャメロン自身の魂が、カプスケーシング川にかかるス
 プルース瀑布のように飛び込んできて、2人を貫くようにして誕生したのです。

 

 幼少期、<物に触れている>ことが大好きだった

 まず、キャメロンの幼少期です。細かなことは分かりませんが、どうも<物に触れて
 いる>ことが大好きだったようです。幼児なら当たり前じゃないかと思われるかもし
 れませんが、幼児は自分の手を前にして眺めて自分と手の関係を感じ取ってからは、
 <物をつかむ>みはじめます。この<物をつかむ>ということは、手で頭につねに信
 号を送るので、類人猿からホモ・サピエンスが誕生するのにも、この「手」こそが主
 人公になっているほどです(映画『2001年宇宙の旅』の冒頭のシーンのごとく)。興味
 深いことに、すでにこの行為に、”両親の手つき”とでもいうべきがあらわれているよ
 うに感じられます。電気技師はその手ですべてを測り、芸術家はやさしく「世界」を
 掌で感じ、触れます。キャメロンは間違いなく<手でものを考える>タイプの人間に
 なっていきました。

 

 

 

 ツリーハウスや筏など、木でいろんなものをつくりだす。

 物心(まさに物に心がなじむ)がつくころになると、弟のマイクを巻き込んでいろん
 なものをつくったり、試したりしはじめています。そのなかには、筏だったり木の上
 の小さな家(ツリーハウス。子供にとっては秘密基地です)がありました。木の上の小さ
 な家といえば、映画『アバター』に登場する惑星の住民は巨大な聖なる樹の上で生活
 していました。筏もツリーハウスも木で、しかも自分の手を動かし考えてつくりださ
 れます。ゴーカートもつくっていたようですが、おそらく木でつくられていたのでは
 ないかとおもわれます。

 ここですぐに気づくのは、キャメロン兄弟が、親から与えられたおもちゃで遊んでい
 ないということです。ちなみに奇妙な経緯でパンクの中核人物となったシド・ヴィシ
 ャスは、幼少期与えられたおもちゃを一人占めにし、また一人っ子だったこともあり
 他の子供たちと一緒に遊べず、他の子供たちのおもちゃも自分のものにしてしまって
 いました。キャメロン監督がリスペクトする映画監督のスタンリー・キューブリック
 は、その少年期に、学校生活がうまくできないことを心配した父から、「カメラ」
 「読書」「チェス」のすべてを教わっています。キューブリックは、「カメラ」の
 延長にある撮影技術に強いこだわりをもち、少し後にキャメロン少年を夢中にさせま
 した。大人になってあらためて気づけば、子供時代にどんなおもちゃで、どのように
 遊んだかは「心の樹」のいたるところにその痕跡と影響があらわれます。そして遊び
 方には同時に気質や性格も映しだされます。

 「落下」と「破壊」への原始的な関心

 木でつくった潜水艦に数匹のネズミをのせ、それを滝から真っ逆さまに「落下」させ
 ることまではやんちゃな少年ならやりそうなことですが、大きな岩を飛ばす発射台を
 つくり、飛躍高度と速度をあげるためにあれこれ工夫するような遊びはそうはやらな
 いでしょう。実際飛ばされた岩が「落下」した所には深い穴があくほどだったといい
 ます。映画『アバター』に、空中に浮かぶ島から滝が流れ落ちていたシーンがありま
 したが、滝や水中(映画『アビス』は深海であり、『タイタニック』も深海に沈んでいった』
 し多くの乗客が「落下」していった)
ばかりでなく、上空から真っ逆さまに「落下」す
 るイメージは、『アバター』の中で怪鳥に乗って急降下するイメージとなって頻繁に
 見ることができます。

 また、『アバター』中の聖なる樹を破壊する爆撃にしても、キャメロン少年の内面に
 は、ツリーハウスの楽しい思い出と同時に、「破壊」する快感(あるいは「破壊行為」
 そのもの)
も同じようにあったにちがいありません。『アバター』に描かれた聖なる
 樹木とそれを破壊する威力、このどちらもがキャメロンなのです。もちろんキャメロ
 ンにしてみれば、そうした少年ぽい原感覚は、隠れた動機や欲望となって映像の迫真
 性とリアルさのなかに融合されていくことになります。

 実際、キャメロン少年は、ツリーハウスを「破壊」すらしています。近所の子供たち
 がキャメロン兄弟のオタク的ともいえる世界に忍び込み、キャメロン製のおもちゃを
 幾つか盗んだ時、キャメロン兄弟は仕返しに犯人の子供の家の庭に忍び込み、ツリー
 ハウスを支えている枝をノコギリで半ば切り、子供が乗った時に、地面に落下するよ
 うに細工しています。そしてツリーハウスは見事落下し子供は病院送りになったとい
 います。

 映画『アバター』でも聖なる木の話や生命を蘇らせる森の聖なるパワーの描きっぷり
 ばかりに意識が向くとキャメロンの原始的ともいえるもう一つのパワーがみえなくな
 ってしまうかもしれません。キャメロンの秘密はこの両極のパワーの振子の幅にある
 のですから。どうやら情報では近作の一つは原子爆弾の恐怖について描く企画がある
 ようですが、それは核戦争への憂え(脚本力で処理される)とは別に、キャメロンの振
 子の極に、原子爆弾の究極の「破壊力」(の映像化)があることは間違いありません。

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