sd

フィリップ・K・ディックの「マインド・ツリー(心の樹)」 

cd

df 貧困とカウボーイとマンガ         dftop df(2)df(3)

sd                              

 

 

マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)
Philip K. Dick

早川書房 1999-06
売り上げランキング : 60622
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 

df

 

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)浅倉 久志

早川書房 1978-10
売り上げランキング : 155081

おすすめ平均 star
starあんまり
starディックは彼岸の夢を見るか?
star「合意された現実」の裏側―「遍在する神」

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
 

あなたをつくります (創元SF文庫) あなたをつくります (創元SF文庫)
Philip K. Dick

東京創元社 2002-03
売り上げランキング : 484065
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 

 

パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 (ハヤカワ文庫 SF (590))
パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 (ハヤカワ文庫 SF (590)) 浅倉 久志

おすすめ平均
stars人間はまずまずうまくやってきたじゃないか。
starsなぜ再読に耐えうるのか?
stars現実の中で希望を持って生きる事の大切さ
stars最重要作品の一つ
stars究極のドラッグ小説

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 

 

 
ディック一家が移り住んだサンフランシスコ:
1930年当時

 

 

フィリップ・K・ディック・リポート (ハヤカワ文庫SF)フィリップ・K・ディック・リポート (ハヤカワ文庫SF)
早川書房編集部

早川書房 2002-11
売り上げランキング : 171054

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 

虚空の眼 (創元推理文庫)虚空の眼 (創元推理文庫)
大滝 啓裕

東京創元社 1991-06
売り上げランキング : 441755
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
 

 

 

 

  

 はじめに:
 「21世紀の大作家」とも呼ばれるディックの「心の樹」

 映画『ブレードランナー』の原作『アンドロイドは電気羊の夢を見る』や映画
 『トータル・リコール』の原作、そして『高い城の男』『ユービック』『偶然世
 界』『火星のタイムスリップ』『流れよわが涙、と警官は言った』『ヴァリス』
 『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』『シミュラクル』『あなたを合成しま
 す』など数多くの傑作SF(SFのジャンルを超えているものもある)を生み出したフィリ
 ップ・K・ディックは、従来のSF(Science Fiction)の分野だけでなく、死後、
 幅広い分野から再評価がなされています。時に米国文学史上もっとも想像力に富
 んだ才能の持ち主と語られれば、ジャン・ボードリヤールにも最も偉大な実験作
 家だと評され、かの故ティモシー・リアリーにも「21世紀の大作家」とまで言わ
 しめたほどです。

 ディックはどのようにして「大実験作家」になっていったのでしょう。彼は必
 然的にSFの大作家の道に向かったのではありませんでした。それではいったい
 何がディックをディックたらしめていったのか、俄然気になってきます。
 「マインド・ツリー」プロジェクトは、そんなディックの”想像する樹”を見
 逃すわけにはいきません。では、一緒にフィリップ・K・ディックの「マインド
 ・ツリー(心の樹)」を見つける旅に出てみましょう。

 

 

 

 

 世界大恐慌の余波、両親離婚、母、知人の家を泊まり歩く

 フィリップ・K・ディックは、1928年12月16日にシカゴで誕生しました。ディッ
 クが生まれた翌1929年には世界大恐慌が勃発し、ディック家は貧困生活に陥り、
 サンフランシスコの対岸バークレー地区にある母の両親の家(古くて陰気な家だった)
 
に移り住んでいます。今日の経済危機下の状況と近似しています。おそらく仕事も
 なかなかなかったのでしょう。父はアメリカン・フットボールにのめり込むばか
 りで家庭がつねにぎくしゃくしていました。両親はディック5歳の時に離婚しま
 す。

 この頃、ディックはカウボーイ・カルチャーに入れ込み、いつも歌を聞きカウボ
 ーイの衣装に身を包んでいたようです。そしてもう一つ、マンガが大好きにな
 り、カウボーイとマンガの世界にディックは住んでいるようなものでした。大概
 の子供がそうですが、大恐慌といっても「不況」という言葉や意味など知る由も
 なく、母がいつもお金に困っている姿を見る以外は、なかなか楽しい子供時代だ
 ったといいます。

 経済的に困窮するばかりの母は、夫と別れた翌年、ディックを連れワシントン
 DCに向かい、母の友達の家を泊まり歩くようになります。しかし転々とする放浪
 生活のようでゆっくり休まることもできず(ディックの言葉では「心がねじ曲がってしま
 った」)
、ディックに情緒障害の症状がではじめてしまいました。小さな”根
 っ子”が、根づこうとする土壌が知らないうちにころころ変わってしまうわけで
 すから無理もありません。小さな”根っ子”は周囲の環境を映し込みながら、
 相互作用しながら伸びていくのですから。

 

 

 

 情緒障害の症状、詩人になる夢

 7歳の時、食べ物を口にするのに脅えを覚える「情緒障害」の症状をみせはじめ
 ました。母はディックを情緒障害の子供を収容する学校に入学させます。が、学
 校側はディックを扱いかね体重も減る一方だったようです。ディックが詩を書き
 だしたのはこの頃でした。ナイーブだったディックは、保護者観察日に読んだ詩
 が皆に絶賛されたこともあり、将来は詩人にろうと夢見ます。
 この頃ディックが夢中になっていたものは以下のものです。ビー玉、フリップ
 カード、ボーローバット、チップ・トップ・コミックスキング・コミックス
 ポピュラー・コミックス。そして毎週少しばかりもらっていた小遣いで、キャン
 ディーやチョコレート・バー、ナツメ・ゼリーを買っていました。この時期の子
 供としてはいっけん何ら変わりのない子供でもありました。

 幼い魂は、予想もしない発達をするものです。この酷い生活状況のなかであって
 も、ディックはコミックス好きになり詩を書くようになっていました。母は以前
 から作家になろうと時間をみつけては小説を書き続けていたようなので、そんな
 母の影響を受けたのでしょう。結局、母はもの書きに挫折しますが、ディックに
 はものを書くことの素晴らしさを教えました。外的環境が不足ならばと、ディッ
 クの魂が少しの水を求めるように這い出そうとしたのでしょうか。ただ、コミッ
 クスを読みだし文章を少し書きはじめたとはいっても、当時の幼少の子供として
 は特段目立つものではなかったようです。
(2)click here