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19世紀半ばのパリ-イマジネーションが点火するヴェルヌは図書館に日参し、気になった航海・地理・科学関係の書籍に読みふけります。後の『月世界旅行』に登場する弾道学(Ballistics)をみても分かるように極めて論理的な記述であり、実際に20世紀初期の宇宙科学者のツィオルコフスキーやヘルマン・オーベルトもヴェルヌの著作から多くを学んでいました。ヴェルヌの文章の高い論理性は、彼が幼い頃から反抗していた論理的に物事を考えすぎる父親のDNAなのかもしれません。 そうした論理性はヴェルヌのイマジネーションを妨げるものではなく、イマジネーションをさらに点火させるものになりました。幼い頃に母方の祖父たちから聞いていた海の彼方の物語の記憶も蘇っていたことでしょう。冒険家のジャック・アラゴーと交際するようになり様々な実際的な知識を得たりもします。インスピレーションがスパークし続けます。そしてひっそりと冒険小説を書きつづけます。ヴェルヌが暮らしていたのは、19世紀半ばのパリです。さまざまな発明があちこちでなされ新たな文明が溶鉱炉の中で準備されようとしていました。 それから10余年。ヴェルヌの「マインド・ツリー」は確かな年輪を刻んでいました。樹勢がつきはじめようとしていた時に、SFの開祖ジュール・ヴェルヌが誕生する契機となった「シンクロニシティー」が起こりました。
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シンクロニシティ・ポイント✦シンクロニシティ・ポイント-35歳の時に起こる(1863年)✦ 出版人・編集者ジュール・エッツェルとの出会い。エッツェルはそれまでビクトル・ユゴーやプルードンらの著書を出版し、社会体制への疑問から社会主義に関心を寄せていた大物人物。蒸気機関、輪転機、写真術、電気通信の機械文明の時代の到来を察知したエッツェルは、古い先制政治の打倒のためには、次の世を担う子供たちに知識や夢を与える児童図書が重要になると考え、児童図書の出版の道へ舵を切り始めていた時だった。ヴェルヌの科学技的事実を小説に取り込んだ子供たちをもわくわくさせる冒険小説はまさにエッツェルが望んでいたものでした。
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『海底二万里』『八十日間世界一周』と大きな樹冠をつけていくヴェルヌエッツェルと執筆契約をしてからは、ヴェルヌの「樹」は一気に勢いよく伸びはじめます。36歳の時、『地底旅行』(1864)『月世界旅行』(1865)『ハトラス船長の旅と冒険』(1866)、さらに『海底二万里』(1870)『月世界探検』(1870)など6年間で長編8篇を書きあげました。途中、仕事部屋代わりにしようと小さな帆船(漁船)を一隻購入します。『ハトラス船長の旅と冒険』や『海底二万里』などは、漁船の中に一人閉じこもって書かれました。書籍が大いに売れ収入が増すと、大きな船に乗り換えていきました。最後は10人乗りの蒸気船になります。
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マッドサイエンティストの登場。そしてニーチェと地下水脈で
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◉成年・晩年期:Topics◉ヴェルヌが43歳の時、父が死去すると、55歳の時にエッツェル、その4年後に母も亡くなります。またエッツェルの死の10日前には、金の無心に来た甥に足を撃たれその後生涯杖をつくことになります。まるでネモ船長のように極度の人間嫌いとなり、神経衰弱にも陥り、家の階上の仕事部屋に閉じこもって仕事をこなすだけになります。晩年は「沈黙と人を遠ざけること」がヴェルヌの願いになっていたようです。 |