木村伊兵衛の写真集・著作物は、さすがに日本近代写真の代表格だけあって昭和時代から、また平成時代にかけ数多く出版されている。20年以上前からすでに昭和中期のものはその多くはコレクタブルな写真集になっているが(昭和29年の『木村伊兵衛傑作写真集』や昭和30年『木村伊兵衛外遊写真集』、昭和31年の『ヨーロッパの印象』の頃のもの)、ある程度出せばなんとか購入できる価格帯であった。昭和49年の人気絶版写真集『木村伊兵衛写真集:パリ』(のら社)も、現在もある程度はするがそれほど高額にはなっていない。また昭和10年代の『Four Japanese Painter』や『王道楽土』(アルス)はレアでコレクタブルであり(なにせ太平洋戦争前の対外宣伝ものである)、同じく昭和14年の『Japan through a Leica』は、2006年に国書刊行会から限定で復刻されている。とにかくスナップ写真について、また日本のスナップ写真の歴史に少しばかり立ち寄ってみる時、木村伊兵衛の意識の変化とそこから生み出された写真・写真集を再度見てみたくなる誘惑にどうしてもかられてしまうのだ。