Ralph Gibson ♞ ラルフ・ギブソンを、知る b.1939~

ラルフ・ギブソンは初期3部作『Somnambulist』『Deja-vu』『Days at Sea』において、これまで音楽や詩で啓示されるイメージを、ギリシア時代に遡る"diptych(ディプティク-絵・彫刻を施した2枚折の板、または2つ折りの書字板)"と呼ばれるフォーマット・方法が用い、ギブソン自身の自由なヴィジョンにスピリチュアルで形而上学な要素がそなわることになる。ギブソンの写真集は、見開きの左右のページにそれぞれ一点の写真が置かれ、その左右の写真から視覚や知覚が刺激され、解釈するのだが、その方法には、ギブソンが3部作制作以前に持続的に刺激と影響を受けたロバート・フランクの写真集『The American』でみられる写真と写真が共鳴し合い音楽のようにイメージを奏であう方法が強く反映している。『The American』の場合は、左ページに詩・文、右ページに写真となっているが、前後のページの写真とイメージと意味の連環と連鎖が深くはたらくようになっている。その方法は、ギブソンの左右見開きに置かれた(Two-page layout)2点の写真のイメージの生成の仕方に大きな影響を与えた。より音楽的に、より詩的に。 |
ラルフ・ギブソンが設立した出版社Lustrum Pressは、ラルフ・ギブソン自身の初期写真集のみならず、一時期アイスタントをしていたロバート・フランクの「The Lines of my Hand」(日本の元村氏が最初のものを出版して後だが)やダニエル・ セイモアの「A Loud Song」、そしてあのラリー・クラークの「TULSA:タルサ」(初版)を出版するなど それまで日の目を見ることのなかった写真を、世に問うている、気骨のある小さな出版社である。 |