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 Jacques-Henri Lartigue ♞ ジャック=アンリ・ラルティーグのミステリー 

       

この写真は、1905年にパリ、コルタンベール通り40番地にあるラルティーグ家のジャック=アンリ・ラルティーグの自室で撮られた写真である。中央に大きく写っているのは鏡や家具類であるが、ラルティーグが狙って撮ったのは、床に並べられているレーシングカーのコレクションの方である。別段、誰もがそういったコレクションをもっていてカメラが手元にあれば撮るのかもしれないが、それはおそらくある程度の大人の年齢に達してからではなかろうか。この写真を撮った時、ラルティーグはまだ11歳、小学校なら6年生の時なのだ。うーん、小学校6年生の頃、一歩譲って集めていた(これは誰でもやる)レーシングカーを撮ったとしよう。けれどももしそうだとしたら、レーシングカーだけをもっと寄って撮るのではないだろうか。しかもこの写真は、一番手前のレーシングカー一台だけ横向きになっていて後は一列に奇麗に斜めに並べられている。とするならば子供心に一番好きなレーシングカーにもう少しフォーカスし(当時の焦点距離の限界はあった にせよ)ないものだろうか。なぜなら前年に撮られた写真を見れば、レーシングカーを見栄え良く置いて写真を撮る場所は、広いラルティーグ家の中ならばもっといろいろあっただろうということだ。ということは写真集に付された(編集者による)写真のタイトルは単に「自室に並べられたジャック=アンリ・ラルティーグのレーシングカー・コレクション」なのだが、そのじつは背景の部屋のしつらえや様子、空気感をこそ、目的と言わざるをえないのだ。写真をクリックしてオリジナルの状態に近い写真で見てもらえれば、左手のドアが開け放たれている様子、それに画面の割合においてレーシンガーが置かれた床が不釣り合いなほど下に置かれ、逆に鏡の割合が大きくなっている。扉の前の左方も空きすぎていて肝心のレーシングカーがあまりにも見えないのだ。