写真集「ハート・アイランド」で、ニューヨークのホームレスの人たちが葬られる通称ハート・アイランドを撮影したスタンフェルドは、時代から引き裂かれ、取り残された場所、そして新たに再生しようとする場所や人々、コミュニティー、エコヴィレッジを撮影し続けている。今回YoutubuにUPされたニューヨーク・ウェストサイドに1930年代に貨物列車用に建造されたthe High Lineを、 High Lineフレンドシップのメンバーとして(当初は恐らく依頼)記録し、その歴史的重要性と保全、そして地元の住民のための新たなコミュニティー再生の場に、写真家としてグループ設立当初からかかわった。市政やニューヨーカーに広くアピールする方法としての写真のパワーを遺憾なく発揮させたサンプルとして取り上げてもよいだろう。ニューヨーク市は High Lineプロジェクトに50億円もの大金を出すことになる。写真家は今後、自己の感性と美学を磨くツールとしてだけでなく(結果的に大いな果実を歴史に刻み、貼り付け、残すことも数多くあるが)、社会的装置としてのカメラの使い方を発見していく時期に来ていると思われる。最近の言葉を借りて言えば、「ソーシャル・イノベーター」としてのフォトグラファーということになろうか。変に声高に言うのも気がひけるのだが、それはかつてのウォーフォトグラファーやドキュメント・フォトグラファーとも異なる単なる社会変革のために戦う、記録するという役割ではないもっと別様な方向と方法であることは間違いない。