自然と人間社会、文明との関係性(あるいは人間と環境)を大型カメラで探ってきたミズラックの新しい写真集「On the Beach」は、2001年のワールドトレード・センターの悲劇のすぐあとに主に滞在したハワイのホテルの窓から撮影されたものだが、「デザート・カントース」など人間に踏み込まれた自然のアフターマスを撮影するアプローチと異なり、自然の上に人間が透明に重なってみえるようなどこか不安気で不気味な印象を残す。実際に「On the Beach」というタイトルじたいが、SF作家ネヴィル・シュートの書名「On the Beach/日本語タイトル:渚にて」(1957年刊行)からもってきているそうだ。「渚にて」は原子爆弾による人類ホロコーストの後の静謐で不気味なCold Warを背景に描かれている。 SF作家ネヴィル・シュートは、ビッカース社で飛行船R100の開発に加わり、後にエアスピード航空機製造会社を創設している実業家だったが、仕事をやめ専業作家になる。第二次世界大戦では特殊兵器の開発に加わっていた。「On the Beach/渚にて」は、恐ろしい体験と背景を抱え込んで書かれたものだった。
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